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大阪地方裁判所 平成5年(ワ)636号 判決

大阪府大阪狭山市〈以下省略〉

原告

右訴訟代理人弁護士

山﨑敏彦

大阪市〈以下省略〉

被告

一吉証券株式会社

右代表者代表取締役

伊丹市〈以下省略〉

被告

Y1

右両名訴訟代理人弁護士

島武男

畑良武

佐野正幸

堀井昌弘

真野淳

田村昌之

堀井弘明

主文

一  被告らは、原告に対し、各自、金一六三万四〇三四円及びこれに対する平成二年一二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを二分し、原・被告の各等分の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告らは、原告に対し、各自、金三二五万八〇六八円及びこれに対する平成二年一二月一九日から完済まで年五パーセントの割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、平成二年一二月一九日、被告一吉証券株式会社(以下「被告会社」という。)の證券外務員である被告Y1(以下「被告Y1」という。)の勧誘によって、鹿島建設株式会社の外貨建てワラント(平成元年七月二七日発行)三〇単位(一五万ドル分、以下「本件ワラント」という。)を金二九六万八〇六八円で購入した原告が、本件ワラントの価格が激減し、現在無価値となっているので、弁護士費用二九万円を含む合計金三二五万八〇六八円の損害を被ったとして、被告Y1に対し、説明義務違反等を理由とする不法行為責任を、被告会社に対し、被告Y1との共同不法行為責任若しくは使用者責任又は債務不履行責任を求めた事案である。

一  争いがない事実

1  原告は、不動産仲介業を営む者である。

2  被告会社は、株式取引の仲介等を目的とする株式会社であり、被告Y1は被告会社難波支店の證券外務員である。

3  ワラントとは、「新株引受権附社債」(商法第三四一条の八以下)から社債部分を切り離して、新株引受権を独立させて、証券化したもので、所定の期間内に所定の数量の新株を所定の価額で発行するよう、会社に請求する権利を表章する有価証券のことをいう。ワラントは、その発行される通貨によって、「円建て」と「外貨建て」(ドル建て、マルク建て等)とに分けられる。

4  原告は、平成二年一二月一九日、被告会社の担当者である被告Y1からの電話により被告会社から本件ワラントを金二九六万八〇六八円で購入し、同日、被告会社に対し、右同額を支払った。

二  原告の主張

1  証券会社は、証券取引において、知識、経験、情報等のいずれの点においても、一般投資家に比して隔絶した地位にある。

2  自己責任の原則は、証券取引における基本原理であるが、自己の責任原則は、単に責任根拠としての意義を有するものではなく、およそ証券取引に関与する者は、投資家の自己責任による取引を制度的に保証し、現実に確保しなければならない。前記1の証券会社の地位に鑑みると、証券会社は、少なくとも、一般投資家が自己責任を負えるだけの判断材料を提供し、条件を整えた場合でなければ、投資家に対して自己責任を問うことはできない。

3  ワラントは、一応その対象となる株式の株価に連動して価格が動くが、株価の動きより遥かに大きな価格変動を生じる極めてハイリスクな有価証券である。また、権利行使期限を徒過すると価値がゼロとなるとともに、期限前でも、期限までに株価が権利行使価格を超える見込みが極めて薄くなった時点で、価値がほとんどゼロとなる。

また、ワラント、特に外貨建てワラントは、市場がなく、価格形成システムが不完全なため、証券会社は、その価格操作を容易になしうる。さらに、ワラントの売買は証券会社との相対取引で行われるため、投資家としては、公正な価格でない可能性を否定できない、当該証券会社の言い値でワラントを購入し売却することになる。

4  不法行為責任

(一) ワラント取引の説明義務違反

被告Y1は、原告に対して、本来極めて危険で、仕組みが複雑な証券であるワラントについて、その仕組み及び危険性を全く説明せず、かえってワラントが社債類似のものであるかのような理解をさせる説明を行い、その結果、原告にワラントの危険性その他についてほとんど理解させることなく、原告に本件ワラントを購入させたもので、原告は、被告Y1の説明義務違反ないし不当な勧誘がなければ本件ワラントを購入することはなかった。

(二) ワラント説明書交付義務違反

被告Y1は、原告に対して、ワラントについて説明書を交付せず取引をさせている。説明書交付義務違反は、形式的にもそれだけで違法となる行為であるが、説明書の不交付は、被告Y1がワラントについて説明しなかったことの象徴的事実である。

(三) 相対取引である事実の説明義務違反

ワラント取引が相対的取引で行われる点は、ワラント取引において極めて重要な事項であり、その点の説明は不可欠のものである。ワラント取引が相対取引であることを説明しないことは、独立して不法行為を構成する。

(1) ワラント取引は相対取引であるから、顧客の損失イコール証券会社の利益という利害相反の構造になる。少なくともワラントの暴落過程においては、証券会社が暴落中のワラントの売却を顧客に勧めることは、その損を自ら被ることになり、構造的に実行できなかったものである。

(2) 被告Y1は、ワラント取引が相対取引で行われることも原告に全く説明しなかった。これは、明白に証券取引法第四六条に違反するものである。同条は顧客のためにアドバイスしてくれているはずの者が、実はその者自身や全く利益の反する者の利益を第一に行動する者であってはならないという証券取引法上、極めて基本的かつ重要な事項として規定されているのである。

(四) 断定的判断の提供

被告Y1は、原告への本件ワラントの勧誘の際に、「今なら有利な利益が見込まれます」「社債のような利益があります」との断定的判断を提供した。これは、証券取引法(改正前)第五〇条一項一号に違反する違法行為である。

(五) 適合性の原則違反(不当勧誘回避義務)

大蔵省局長通達によれば、投資勧誘に当たっては、投資者に正確な情報を提供し、投資者の意向、経験に適合した投資が行われるように規定されている。

被告Y1は、原告がワラントのような、場合によっては無価値になってしまうような証券の購入を希望せず、またワラントを購入した際にも原告自らはその価値を日常知る手だてを持っていないことを知悉しながら、被告Y1自らワラントについてほとんど知識を有しなかったこともあって、漫然と原告にワラントを売却したものであって、被告Y1の勧誘行為は、原告に対する不当勧誘回避義務に違反する違法なものである。

(六) 以上のように、被告Y1の行為は、前記の各種規定に反するもので、これらの違法性が全体としての法秩序に違反し、不法行為としての違法性を備えるに至るものである。

(七) よって、被告らは、原告に対し、ワラント購入金額金二九六万八〇六八円に弁護士費用二九万円を加えた合計金三二五万八〇六八円について、①被告Y1については、それを自ら実行した者として、②被告会社については、それらを組織的一体として行った責任及び被告Y1の使用者として、それぞれ不法行為に基づく損害賠償責任を負うものである。

なお、原告と被告会社とは、本件ワラントについて売買契約の当事者の関係にあるが、前記の不法行為の構成要素がそのまま債務不履行の構成要素となり、被告会社は、原告に対し、売買契約上の債務不履行責任を負うものである。

三  被告らの主張

1  被告Y1は、原告に対し、ワラントの商品特性を十分に説明しており、社債のようなものなどとは説明したことはない。

また、被告Y1は、原告に対し、「ワラントは、株価が仮に一割上昇するとワラントの価格は、二割以上上がることもあるが、その逆もある。」と説明し、ハイリスク・ハイリターンの商品であると説明した。権利行使期間についても同様に説明した。

原告は、遅くとも昭和六〇年ころより、証券取引を行っており、当時、少なくとも四年以上の投資経験があり、かつ、転換社債等の取引経験もあったので、原告が社債とワラントを間違えるはずがない。

2  被告Y1は、原告にかなりの投資経験があること、本件ワラントは鹿島建設の株価が上昇傾向にあり、値上がりが見込めることなどから、原告に本件ワラントの購入を電話で勧めた。その際、被告Y1は前記1の事項を説明した。原告は、それ以上本件ワラントについて、被告Y1より説明を求めることもなく、自己の判断により本件ワラントを購入したものである。

なお、原告は、償還期限が平成五年であるとの説明を受けたと主張しているが、これは被告Y1の権利行使期間の説明を誤解したものである。

3  被告Y1は、原告に対し、ワラントの商品特性をわかりやすく説明し、日本証券業協会発行の「国内新株引受権証券取引説明書」及び「外国新株引受権証券取引説明書」を交付した。同説明書には、前記1の事項が明記されている。また、原告は、被告会社に対し、原告の責任と判断においてワラント取引を行うことを確認して「国内新株引受権証券及び外国新株引受権証券の取引に関する確認書」に記名、押印のうえ、被告会社に対し、差し入れた。

4  原告は、平成四年六月ころ初めて、ワラントについて、権利行使期間経過後は無価値となることを知り、ワラントという危険なものを知ったと主張するが、原告は、前記3の「説明書」の交付も受け、同「確認書」にも記名、押印している。しかも、「外国ワラント」と明記された預り証も受領している。したがって、原告が平成四年六月ころまで、原告が購入した商品がワラントであることを知らなかったとは到底考えられない。

また、原告は、前記平成四年六月の四か月後である同年一〇月に、被告会社と「タイプライムファンド」を取引している。原告主張のとおり、ほとんど騙されたように本件ワラントを買わされたのならば、その事実が明らかになった後に、原告が被告会社と取引するとは到底考えられない。

四  争点

1  本件ワラントの売買について、被告Y1に不法行為を成立させる違法な行為があったか。特に、被告Y1の説明等により、原告がワラントの商品特性を理解していたか。

2  被告会社に不法行為責任又は債務不履行責任が成立するか。

3  1、2が認められた場合の原告の損害額如何。

五  判断

1  前記争いのない事実に、証拠(甲三ないし五、八、九、乙一ないし一一、被告Y1、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、近畿大学法学部法律学科を卒業した。原告は、同大学卒業後、不動産と建設業関係の仕事をし、昭和四五年一二月から現在まで、不動産仲介業を営み、相当の高収入をあげている。原告が、証券の売買を始めたのは昭和三七年ころであるが、預金金利より利回りがよい点に魅力を感じたこともあって、一度買った後はほとんど売買しない方針で、かなり長期間保有していた。原告が、証券を年に数回も売買するようになったのは、平成元年四月ころであり、被告会社と株式投資をするようになってからである。原告は、被告会社を介して、アジアなどの外国の株式や、アジア株を売買する投資信託を買い付けた。原告は、株式については、いわゆる店頭株を購入していた。原告は、そうした取引の中で、証券取引や、為替レートに関し、相当の知識を身につけていた。被告会社の担当者は、当初から被告Y1であった。原告の平成二、三年ころの証券の保有総額は金三〇〇〇万円位に達していた。被告Y1は、平成二年一二月一九日、ディーリングルームから流れてきたワラント二、三銘柄の内、本件ワラントが特に反発しそうな気配を有していると考え、これを原告に電話にて、本件ワラントが鹿島建設のワラントという銘柄であること、鹿島建設のワラントのポイント、ワラントがドル建てであることを説明して、その購入を勧めたことが認められる(なお、原告は、本件の取引をした際、ワラントを買った認識はないと供述するが、被告Y1がワラントの性格を社債のようなものと説明した余地はある(もっとも、必ずしも、そうした断定はできない。)としても、甲第八、第九号証、乙第三号証に照らし、被告Y1から、本件の取引がワラントの取引であること及びその数量等につき、一切の説明がなされないまま、原告が本件の取引をしたなどということは到底認め難く、原告の右供述は措信し難い。)。

2  ところで、右勧誘の際の電話の内容については争いがあるところ、この点につき、被告らは、被告Y1は、原告に対し、ハイリスク・ハイリターンの商品であること、ギアリング効果(株が一割上下すれば、ワラントがそれ以上の二、三割上下すること)があること、権利行使期限(平成五年六月三〇日)を過ぎるとワラントが無価値になること、相対取引であること等を説明したと主張し、これに沿う被告Y1の供述が存する。しかし、被告Y1は、反対尋問において、本件ワラントの取引に関して、事の詳細について質問された際は、記憶がないとか、分からないとか供述するのに対し、本件ワラントの仕組みや性格等についていかなる説明をしたかとの質問に対しては、主尋問の際も含めて、滞ることなく供述する(被告Y1のこの点の記憶は、非常に鮮明で際立っていて、かえって、疑わしい。)ところであって、その対照が際立っており、この点、原告の本件ワラントにつき右説明したとの前記供述には、不自然さを払拭することができない。また、原告本人尋問の結果によれば、原告は、本件ワラントの取引がワラントについての初めての取引であって、それまでワラントについての知識は皆無であったことが認められところ、被告Y1の本人尋問の結果によれば、被告Y1が本件ワラント取引の勧誘のため、原告に架電した際の、被告Y1の説明時間は、鹿島建設株についての説明を含め、全体で約五分間であった(そうすると、被告Y1がワラントの内容について説明をしたとしても、そのための時間は勢い僅かな時間となる。)ことが認められ、この事実によれば、被告Y1がこのようなわずかな時間に、それまでにワラントについて知識を有しない原告に対し、ワラントの特性、その複雑な仕組み等を理解させるのは容易ではないと推認されるし、また、被告Y1の本人尋問の結果によれば、被告Y1は数名の顧客に対してしかワラントを売買した経験しかなかったことから見て、その知識は、決して十分なものであったとはいえないものであることが窺え、なお、甲第二〇号証、検甲第一号証によれば、原告は、平成四年八月一八日ころ、被告Y1に電話をして、本件ワラントの取引に際し、被告Y1が原告に対し、ワラントの危険性等について説明をしなかったことについて、苦情を申し入れたの対し、被告Y1は、ほとんど何らの反論等をしなかったことが認められること、これらの事実によれば、果たして、被告Y1が原告に対し、どこまでワラントの内容等につき説明したか疑問があり、むしろ、右説明をしなかったものと推認することができる。

3  また、被告らが原告に対し、ワラントの説明書類(日本証券業協会発行の「国内新株引受権証券取引説明書」及び「外国新株引受権証券取引説明書」、乙四)の交付の有無について争いがあり、被告らは、右書類を交付したと主張するが、この点の被告Y1の供述は、今一つ明確でなく、また、乙第八号証も、直ちに、右交付の事実を認めるには足りない。したがって、本件において、右書類の交付があったと認めることには疑問がある。

もっとも、乙第三号証及び弁論の全趣旨によれば、原告の署名捺印に係る国内新株引受権証券及び外国新株引受権証券の取引に関する確認書には、国内新株引受権証券取引説明書及び外国新株引受権証券取引説明書を確認の上、国内新株引受権証券及び外国新株引受権証券の取引を行う旨の確認文言が存するところ、原告は、右内容の確認書を被告会社宛送付したことが認められるが、このことから、直ちに、被告会社から原告に対し前記書類の交付があったと認めることはできない。

4  そして、被告Y1の本人尋問の結果及び原告本人尋問の結果によれば、被告Y1は、原告に対して、本件ワラントの価格を如何なる手段により知ることができるか説明しなかったこと、被告Y1自身も、ワラントの値動きを把握していなかったこと、原告は、権利行使期限を償還期限と誤解していたこともあって、右期限以前に権利を行使しないとワラントが無価値になるとは思っていなかったことが認められる。

5  なお、原告は、被告Y1は、原告に対し、「今なら有利な利益が見込まれます」と断定的判断を提供したと主張するが、いまだこれを認めるに足りない(原告本人尋問の結果によるも、これを認めることはできないし、被告Y1の本人尋問の結果(同尋問調書七丁裏)も、必ずしも、右事実を裏付けるものではない。)。

六  以上の検討の結果によれば、次のようにいうことができる。

1  被告Y1は、本件ワラントの勧誘に際し、それがハイリスクを伴う取引であること、それは権利行使期限が存し、右期限経過後、無価値なものとなること等のワラント取引の基本的な仕組み及びその危険性を理解するに必要とされる知識の説明義務を怠った。

被告会社は、原告に対し、ワラントの取引説明書を交付していない。

2  以上によれば、被告Y1の原告に対する本件ワラントの勧誘行為は、ワラント取引の基本的な仕組みとその危険性について原告が理解する程度に十分になされたとはいえず、その行為は、違法性を有するというべきである(なお、前記認定に係る原告の職業、年齢、収入及び証券取引の経験等に鑑みるとき、原告が本件ワラントの取引をするのに、適性を欠くということはできない。したがって、被告Y1が原告に対し本件ワラント取引を勧誘したこと自体が違法となるものではない。また原告が本件ワラントを購入した後の、被告Y1の原告に対するワラントの価格についての情報提供は、必ずしも十分であったとはいえないが、被告らにおいて、右情報提供義務があるとはいえないので、この点は、違法とまではいえない。)ので、民法七〇九条の不法行為に該当するということができる。

また、被告会社には、被告Y1の使用者として、民法七一五条の使用者責任が成立する。

七  原告が、本件ワラント購入代金として、平成二年一二月一九日、金二九六万八〇六八円を支払ったことは当事者間に争いがない。

なお、原告本人尋問の結果によれば、原告は本件取引がワラントの取引であることを失念していたが、その後、被告会社より購入した証券がワラントであることを再認識したのは平成四年六月であると認められるが、当時の本件ワラントの価格は、購入時のそれの約一〇〇分の一であり、もはや売買も成立せず証券は無価値の状態であったものと認められる。

したがって、原告は、被告Y1の不法行為により右同額の損害を被ったものといえる。

八  原告は、利殖を目的として、本件ワラントの取引をしたのであるから、積極的に自己のなす取引の内容、その危険性等について、研究ないし理解に努めるべきであって(前記認定の原告の年齢、学歴、長年にわたる不動産仲介業者としての経歴及び証券取引の経験度等に鑑みるとき、このことは、原告にとって、極めて容易であったということができる。)、これを怠ったまま、本件ワラント取引を開始して、損害を被ったからといって、これを全て、被告らの負担に帰せしめるのは相当ではない。この点、原告には、その損害の発生につき、少なくとも、五割の過失が存するというべきである。なお、原告は、自己責任の原則は、証券会社が一般投資家に対し、自己責任を負えるだけの判断材料を提供し、投資条件を整備して初めて妥当するものであるところ、本件では、被告Y1の勧誘行為で投資条件が整備されたということはできず、自己責任の原則は、その前提を欠き、妥当しないなどとして、本件において、過失相殺をするのは相当でないと主張するが、かかる立論は独自のものであって、採用し難い。

九  以上によれば、本件不法行為による原告の損害は、金一四八万四〇三四円となる。

そして、右不法行為と相当因果関係にある弁護士費用は、金一五万円をもって相当と認める。

第三結論

よって、原告の請求は、金一六三万四〇三四円及びこれに対する不法行為の日である平成二年一二月一九日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

(裁判官 中路義彦)

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